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UN3480とUN3481の違い|機器組込・機器同梱の判断と航空輸送の注意点

リチウムイオン電池を海外へ出荷する場合、最初につまずきやすいのが「UN3480なのか、UN3481なのか」という判断です。さらにUN3481の中でも、「機器に組み込まれている」のか、「機器と同じ箱に同梱されている」のかによって、航空輸送で参照する梱包基準が変わります。番号や区分を誤ると、航空会社・フォワーダー・物流会社で受託拒否、再梱包、書類差し戻し、納期遅延につながることがあります。

この記事では、UN3480、UN3481、機器組込、機器同梱の違いを初心者にもわかるように整理します。SDS、MSDS、仕様書、製品ラベルのどこを見るべきか、航空便で追加確認すべき事項、物流会社へ確認する質問テンプレート、よくある誤判定、最終確認先まで、実務で使えるチェックリストとして解説します。航空輸送だけでなく海上輸送での取り扱いや、輸出管理(該非判定)の観点もあわせて取り上げます。

UN3480・UN3481とは何か

UN3480とUN3481は、リチウムイオン電池を国際輸送する際に使われる国連番号です。どちらもリチウムイオン電池に関する番号ですが、違いは「電池だけで輸送するのか」「機器と一緒に輸送するのか」です。

UN3480は、リチウムイオン電池単体を輸送する場合に使います。たとえば、交換用バッテリーパック、予備電池、電池セル、組電池などを、機器なしで出荷する場合です。航空輸送では、一般的にUN3480はリスクが高い区分として扱われ、旅客機での貨物輸送が禁止されるなど、厳しい条件がかかります。

UN3481は、リチウムイオン電池が機器と一緒に輸送される場合に使います。ただし、UN3481には大きく2つのパターンがあります。ひとつは「機器同梱(packed with equipment)」、もうひとつは「機器組込(contained in equipment)」です。どちらもUN3481ですが、航空輸送の梱包基準は同じではありません。

UN3480・UN3481の基本的な違い
区分 英語での正式品名 意味 典型例 航空輸送での梱包基準
UN3480 Lithium ion batteries リチウムイオン電池単体 交換用バッテリー、予備電池、電池パックのみ PI965
UN3481 機器同梱 Lithium ion batteries packed with equipment 電池が機器とは別体で、同じ外箱に入っている 本体機器と予備バッテリーを同じ箱に入れて出荷 PI966
UN3481 機器組込 Lithium ion batteries contained in equipment 電池が機器に装着・内蔵されている ノートPC、測定器、タブレット、充電式工具本体 PI967

UN3480・UN3481・機器組込・機器同梱の違い

判断の中心は、「輸送時に電池がどのような状態で存在しているか」です。製品名や用途だけで判断してはいけません。同じ製品でも、出荷形態が変わればUN番号や梱包基準が変わることがあります。

UN3480:電池だけを送る場合

UN3480は、リチウムイオン電池が機器と一緒ではなく、電池単体として輸送される場合です。たとえば、交換用バッテリーパックのみ、予備電池のみ、セルのみ、組電池のみを送る場合が該当します。

「最終的には機器に取り付ける電池だからUN3481でよい」と考えるのは誤りです。輸送時点で機器が同梱されていなければ、基本的にはUN3480として考えます。

UN3481 機器同梱:機器と電池が同じ箱にあるが、電池は機器に装着されていない場合

機器同梱とは、電池と機器が同じ外装箱に入っているものの、電池が機器に取り付けられていない状態です。たとえば、測定器本体とリチウムイオン電池パックを同じ箱に入れ、現地で使用者が電池を装着するような場合です。

この場合、UN番号はUN3481ですが、航空輸送では「PI966」を確認するのが基本です。機器と一緒に送るからといって、すべてが機器組込になるわけではありません。

PI966には電池の個数制限がある点にも注意が必要です。機器の作動に必要な最低個数1セットに加え、機器1台あたりスペアとして2セットまでとされています。これを超える場合は、梱包方法や申告が変わる可能性があります。

UN3481 機器組込:電池が機器に内蔵・装着されている場合

機器組込とは、リチウムイオン電池が機器の内部に組み込まれている、または機器に装着された状態で輸送される場合です。ノートPC、スマートフォン、タブレット、充電式測定器、充電式工具、センサー機器などが代表例です。

この場合、UN番号はUN3481で、航空輸送では「PI967」を確認するのが基本です。ただし、電池が内蔵されていても、損傷品、リコール品、試作品、大容量品、特殊な電池、輸送中に作動する可能性のある機器などでは、追加確認が必要です。

どのケースでUN番号が変わるか

UN番号は、電池の種類と輸送形態で決まります。特にUN3480とUN3481の切り替わりは、「電池単体か、機器と一緒か」で判断します。

出荷形態別のUN番号判断
出荷するもの 判断 UN番号 注意点
リチウムイオン電池だけ 電池単体 UN3480 交換用・予備用・補給用でも、機器なしならUN3480です。
機器と電池を同じ箱に入れるが、電池は未装着 機器同梱 UN3481 航空輸送ではPI966を確認します。電池個数の上限にも注意が必要です。
電池が機器に内蔵・装着されている 機器組込 UN3481 航空輸送ではPI967を確認します。
機器に電池が組み込まれ、さらに予備電池も同梱する 機器組込+機器同梱の混在 原則UN3481だが、梱包基準と申告方法を要確認 予備電池の扱い、個数制限、ラベル、AWB文言を物流会社へ確認します。
リチウム金属電池を送る 電池の種類が異なる UN3090またはUN3091 充電式のリチウムイオン電池とは番号が異なります。
ナトリウムイオン電池を送る 電池の種類が異なる UN3551またはUN3552 2025年版DGRで新設された区分のため、最新版の規則確認が必要です。

実務上は、次の順番で判断すると誤りを減らせます。

  1. 電池の種類を確認します。リチウムイオン電池か、リチウム金属電池か、ナトリウムイオン電池かを確認します。
  2. 輸送時の状態を確認します。電池だけか、機器と同梱か、機器に組込かを確認します。
  3. Wh定格を確認します。セルならセル1個あたり、バッテリーなら組電池1個あたりのWhを確認します。
  4. 航空便か、海上便か、国内輸送かを確認します。輸送モードにより要件が変わります。
  5. 物流会社・フォワーダー・航空会社の受託条件を確認します。法令上可能でも、キャリア規定で不可となることがあります。

Section区分と梱包基準の一覧

航空輸送では、UN番号とPIだけでなく、Section区分を正確に把握する必要があります。Sectionによって、DGD(危険物申告書)の要否、UN規格容器の要否、重量制限、ラベル、AWB文言が変わります。以下に各PIのSection区分と主な要件をまとめます。

各PI別のSection区分と主な要件(2026年1月1日発効)
PI Section Wh条件 旅客機 貨物機 UN規格容器 DGD SoC 30%
PI965(UN3480) IA セル>20Whまたはバッテリー>100Wh 禁止 35kg PG II必須 必要 義務
PI965(UN3480) IB セル?20Whかつバッテリー?100Wh 禁止 10kg 不要(落下試験1.2m・積み重ね試験3m合格要) 必要 義務
PI966(UN3481同梱) I セル>20Whまたはバッテリー>100Wh 5kg 35kg PG II必須 必要 義務
PI966(UN3481同梱) II セル?20Whかつバッテリー?100Wh 5kg 5kg 不要(落下試験1.2m・積み重ね試験3m合格要) 不要 2.7Wh超は義務、2.7Wh以下は推奨
PI967(UN3481組込) I セル>20Whまたはバッテリー>100Wh 5kg 35kg 不要 必要 推奨
PI967(UN3481組込) II セル?20Whかつバッテリー?100Wh 5kg 5kg 不要 不要 推奨

重要な変更点として、PI965(UN3480電池単体)にはかつてSection IIが存在しましたが、2023年のICAO Technical Instructions改訂により廃止されました。そのため、リチウムイオン電池を単体で航空輸送する場合は、WhにかかわらずSection IAまたはIBの完全危険物扱いとなり、DGD(危険物申告書)が常に必要です。「小さい電池だからSection IIで簡略化できる」というのは、UN3480の航空輸送では通用しなくなっています。

なお、PI967 Section IIには追加の例外規定があります。包装物内の機器に内蔵されたボタン型電池のみの場合、または1荷送人あたり2個以下の包装物で各包装物に4個以下の単電池または2個以下の組電池が機器に内蔵されている場合には、バッテリーマークの貼付やAWB文言の記載が不要となることがあります。

SDS・MSDS・仕様書・製品ラベルのどこを見るか

UN3480・UN3481の判断では、ひとつの資料だけを見て決めるのは危険です。SDSやMSDSにUN番号が書かれていても、それが「電池単体としての分類」なのか、「製品としての出荷形態」を反映した分類なのかを確認する必要があります。

SDS・MSDSで見るべき場所

SDSまたはMSDSでは、主に「輸送上の注意」「Transport information」「Section 14」などを確認します。ここにUN Number、Proper Shipping Name、Hazard Class、Packing Group、Special Provision、Packing Instructionなどが記載されることがあります。

SDS・MSDSで確認すべき項目
確認項目 見る場所の例 確認内容 注意点
UN番号 Section 14 / Transport information UN3480、UN3481、UN3090、UN3091など SDSが電池単体用なのか、製品同梱用なのか確認します。
Proper Shipping Name Section 14 Lithium ion batteries、Lithium ion batteries packed with equipment、Lithium ion batteries contained in equipmentなど UN3481でも、packed with equipmentとcontained in equipmentの違いを見ます。
Hazard Class Section 14 Class 9など 危険物クラスの表示やラベル要否に関係します。
輸送モード別情報 ADR、IMDG、IATA、ICAOなどの欄 航空・海上・陸上での条件 航空便ではIATA/ICAO欄を特に確認します。
特別規定 Special provisions A88、A99、A201、A331などが関係する場合があります。 A88は試作品、A331はSoC超過時の承認に関する規定です。

仕様書で見るべき場所

仕様書では、電池の種類、定格容量、電圧、Wh、セル数、バッテリーパック構成、保護回路の有無、UN38.3試験の適合状況を確認します。特にWhは、航空輸送でSection区分に関係するため重要です。

Whが仕様書に明記されていない場合は、次の式で概算できることがあります。

Wh = 定格容量Ah × 公称電圧V

mAhで表示されている場合は、Ahに換算してから計算します。

Wh = 定格容量mAh × 公称電圧V ÷ 1,000

たとえば、5,900mAhで7.2Vのバッテリーパックの場合、5,900 × 7.2 ÷ 1,000 = 42.48Whとなり、セル20Wh以下かつバッテリー100Wh以下の範囲に収まるため、Section IBまたはSection IIの候補になります。

ただし、輸送判断に使う数値は、メーカー仕様書、電池ラベル、UN38.3 Test Summary、物流会社の判断に基づいて確認してください。計算値だけで独自に分類を確定するのは避けるべきです。

製品ラベル・電池ラベルで見るべき場所

製品ラベルや電池ラベルでは、次の情報を確認します。

特に注意したいのは、製品本体のラベルと、同梱されている電池パックのラベルが別物であるケースです。製品本体の仕様だけを見て判断すると、同梱されている予備電池の容量や個数を見落とすことがあります。

航空便で確認すべき追加事項

航空便では、UN番号だけでは判断が完了しません。航空会社やフォワーダーは、IATA DGR、ICAO Technical Instructions、各航空会社の運送条件、出発国・到着国・経由国の要件をもとに受託可否を判断します。

航空便で最低限確認したい項目

航空便で確認すべき追加事項
確認項目 確認内容 確認理由
UN番号 UN3480か、UN3481か 番号により梱包基準、ラベル、書類が変わります。
梱包基準 PI965、PI966、PI967のどれか 電池単体、機器同梱、機器組込で異なります。
Section区分 PI965はSection IA/IBのみ。PI966・PI967はSection I/II。 Wh、個数、重量、梱包、DGD要否に影響します。PI965のSection IIは廃止されています。
Wh定格 セル20Wh以下か、バッテリー100Wh以下か、超過か 小型電池として扱えるか、完全危険物扱いかに関係します。
SoC 充電率が30%以下か UN3480は義務、PI966は2026年から義務(2.7Wh超)、PI967は推奨です。
旅客機搭載可否 PAX可か、CAOのみか UN3480は旅客機での航空貨物輸送が禁止されています。
CAOラベル Cargo Aircraft Onlyラベルが必要か 貨物機専用の場合、表示漏れは受託拒否の原因になります。
DGD 危険物申告書が必要か Section IやIA/IBでは必要です。Section IIでは不要ですが、AWB文言は必要です。
AWB文言 Air Waybillに必要な文言があるか Section IIでは「Lithium ion batteries in compliance with Section II of PI9xx」等の記載が必要です。
バッテリーマーク バッテリーマーク(旧称:リチウム電池マーク)の貼付が必要か PI965 IB、PI966 Section II、PI967 Section IIなどで必要です。マーク内の電話番号は2026年12月31日まで経過措置があります。
第9分類ハザードラベル リチウムまたはナトリウムイオン電池ハザードラベル(旧称:第9分類リチウム電池ラベル)が必要か Section IAやSection Iの完全危険物扱いの場合に必要です。
UN38.3 Test Summary メーカーから提供可能か 2020年1月1日以降、製造者および流通業者はTest Summaryを利用可能にする義務があります。航空会社・物流会社から提出を求められることがあります。
損傷・リコール 損傷品、欠陥品、リコール品ではないか 通常条件では航空輸送が禁止されるか、特別承認が必要になります。
輸送中の作動防止 機器が誤作動しないよう保護されているか 発熱・短絡・誤作動防止の観点で重要です。

2026年1月1日発効:SoC要件の変更

IATA DGR第67版(2026年)で最も実務に影響する変更のひとつが、充電率(SoC)に関する要件の拡大です。以下にPI別のSoC要件をまとめます。

2026年1月1日発効のSoC要件
PI Section SoC要件 SoC超過時の対応
PI965(UN3480電池単体) IA・IB SoC 30%以下が義務(従前から) 航空輸送不可。または特別承認が必要です。
PI966(UN3481機器同梱) I SoC 30%以下が義務(2026/1/1〜) 特別規定A331に基づき、出発国と航空会社登録国の承認が必要です。
PI966(UN3481機器同梱) II(2.7Wh超) SoC 30%以下が義務(2026/1/1〜) 特別規定A331に基づき、出発国と航空会社登録国の承認が必要です。
PI966(UN3481機器同梱) II(2.7Wh以下) SoC 30%以下は推奨(義務ではない) 超過しても特別承認なしで輸送可能ですが、推奨に従うことが望ましいです。
PI967(UN3481機器組込) I・II SoC 30%以下またはIBC 25%以下は推奨(義務ではない) 規則上は推奨ですが、航空会社や物流会社の社内基準で義務化している場合があります。

SoC要件のポイントは、PI966の機器同梱において、2.7Whを境に「義務」か「推奨」かが分かれる点です。たとえば、産業機器用の予備バッテリー(通常20Wh以上)を機器と同梱する場合は、SoC 30%以下が義務となります。一方、スマートウォッチ用の小型電池(2.7Wh以下)を機器と同梱する場合は、推奨にとどまります。

「IBC 25%以下」とは、機器の画面やインジケーターに表示されるバッテリー残量が25%以下であることを指します。SoC 30%の代替として、PI967では「IBC 25%以下」も推奨条件として認められています。

なお、SoCが30%を超える状態で航空輸送する必要がある場合、PI966では特別規定A331に基づき、出発国の主管官庁と航空会社が登録されている国の主管官庁の双方から書面による承認を取得する必要があります。この承認取得には時間がかかるため、早期の確認が必要です。

UN3480は特に厳しく見る

UN3480は、リチウムイオン電池単体の輸送です。電池が機器に保護されていないため、短絡、衝撃、発熱、熱暴走への対策が特に重視されます。航空便では、旅客機不可、貨物機専用、CAO表示、危険物申告書、梱包性能、SoC 30%以下など、複数の条件を同時に確認する必要があります。さらに、PI965のSection IIは廃止されているため、WhにかかわらずDGDは常に必要です。

海上輸送で確認すべき事項

航空輸送が厳しい場合、海上輸送が代替手段になることがあります。海上輸送ではIMDG Code(国際海上危険物規程)が適用されますが、一定の条件を満たせば非危険物扱いで輸送できる点が大きな特徴です。

IMDG Code 特別規定SP188による非危険物扱い

IMDG Codeの特別規定SP188は、以下の条件をすべて満たすリチウムイオン電池を非危険物として輸送することを認めています。

SP188を満たす場合、危険物申告書は不要で、一般貨物として海上輸送が可能です。ただし、船会社によっては独自の確認書類やSDS提出を求める場合があります。また、SP188の条件を満たさない場合(たとえば100Wh超のバッテリーなど)は、IMDG Codeの完全危険物扱いでの輸送となります。

海上輸送で航空輸送と異なるポイント

航空輸送と海上輸送の主な違い
項目 航空輸送 海上輸送
準拠規則 IATA DGR / ICAO Technical Instructions IMDG Code
非危険物扱いの可否 UN3480(電池単体)は不可。UN3481のSection IIは可能だが規制対象。 SP188の条件を満たせば非危険物として輸送可能
SoC制限 UN3480は30%以下義務。PI966も2026年から義務化。 SoC制限の義務規定は航空ほど厳しくないが、安全管理上は推奨
旅客機禁止 UN3480は旅客機での貨物輸送が禁止 該当なし
リードタイム 短い(数日) 長い(数週間)

航空輸送が困難な場合やコスト面で海上輸送を選ぶ場合でも、SP188の要件を満たしているかの確認は必須です。特に、船会社によって受託条件が異なるため、事前に確認してください。

物流会社に確認すべき質問テンプレート

リチウムイオン電池の出荷では、荷主側で資料を集めたうえで、物流会社、フォワーダー、航空会社に最終確認することが重要です。以下のテンプレートは、メールや問い合わせフォームにそのまま使える形です。

基本確認テンプレート

件名例:リチウムイオン電池製品の航空輸送可否確認のお願い(UN3480/UN3481)

本文例:

お世話になっております。以下貨物について、航空輸送可否および必要書類・梱包・ラベル要件をご確認いただけますでしょうか。

確認したい事項は以下です。

  1. この貨物は航空輸送可能でしょうか。
  2. UN番号はUN3480、UN3481のどちらで申告すべきでしょうか。
  3. UN3481の場合、機器同梱のPI966か、機器組込のPI967か、どちらで扱うべきでしょうか。
  4. 旅客機搭載可能でしょうか。それともCargo Aircraft Onlyでしょうか。
  5. DGD、AWB記載文言、ラベル、マーキングの要否をご教示ください。
  6. UN38.3 Test Summary、SDS、MSDS、仕様書、製品ラベル写真のうち、提出が必要なものをご教示ください。
  7. 航空会社、クーリエ、仕向国側で追加制限がある場合はご教示ください。
  8. 当社側で準備すべき梱包条件、短絡防止、誤作動防止、SoC管理の要件をご教示ください。

以上、よろしくお願いいたします。

機器同梱か機器組込かが曖昧なときの確認テンプレート

本貨物は、機器本体とリチウムイオン電池を同じ出荷箱に入れて輸送する予定です。電池は出荷時点で機器に装着されていません。この場合、UN3481のうち「Lithium ion batteries packed with equipment」、つまりPI966として扱う理解でよいでしょうか。もしPI967または別区分となる場合は、判断理由と必要書類をご教示ください。

予備電池があるときの確認テンプレート

機器本体にはリチウムイオン電池が組み込まれています。加えて、同じ外箱内に予備電池を同梱する予定です。この場合、UN3481として申告する理解でよいでしょうか。また、予備電池の個数制限(PI966では機器の作動に必要な最低個数1セット+スペア2セットまで)への適合状況、梱包方法、短絡防止、AWB文言、ラベル、DGD要否についてご確認をお願いいたします。

SoCが30%を超える可能性があるときの確認テンプレート

本貨物のリチウムイオン電池は、出荷時の充電率が30%を超える可能性があります。航空輸送にあたり、SoC 30%以下への調整が必須か、特別規定A331に基づく承認により輸送可能か、または航空便不可となるかをご確認ください。必要な承認、申請先(出発国・航空会社登録国の主管官庁)、提出書類、リードタイムについてもご教示ください。

よくある誤判定

UN3480とUN3481では、実務上の誤判定が多く発生します。特に「機器と関係する電池だからUN3481でよい」「製品に電池が入っているから全部機器組込でよい」といった判断は危険です。

UN3480・UN3481でよくある誤判定
誤判定 なぜ危険か 正しい考え方
交換用バッテリーをUN3481として扱う 機器が同梱されていない場合、電池単体として扱うべき可能性があります。 電池だけを送るならUN3480を確認します。
機器と同じ箱に入っているので機器組込と判断する 電池が機器に装着されていない場合、機器組込ではなく機器同梱です。 未装着ならUN3481の機器同梱、つまりPI966を確認します。
UN3481なら全部同じ扱いと考える 同じUN3481でも、PI966とPI967で要件が変わります。2026年からはSoC義務も異なります。 packed with equipmentかcontained in equipmentかを分けます。
SDSにUN3480と書いてあるので必ずUN3480とする SDSが電池単体用の資料で、製品出荷形態を反映していない場合があります。 SDS、仕様書、実際の梱包形態を合わせて判断します。
Whを確認せずに小型電池として扱う WhによりSection区分、DGD要否、重量制限が変わります。 セル20Wh、バッテリー100Whの基準を必ず確認します。
UN3480でも小型ならSection IIで送れると考える PI965のSection IIは2023年に廃止されています。 UN3480の航空輸送はWhにかかわらず完全危険物扱い(Section IAまたはIB)です。DGDは常に必要です。
リチウムイオン電池とリチウム金属電池を混同する UN番号が異なります。 充電式はリチウムイオン、使い切りはリチウム金属であることが多いですが、仕様書で確認します。
航空会社の独自制限を確認しない 国際ルール上可能でも、航空会社やクーリエが受けない場合があります。 物流会社、フォワーダー、航空会社に事前確認します。
損傷品・膨張品を通常品として出荷する 損傷、欠陥、リコール品は航空輸送が禁止されるか、特別承認が必要です。 通常品と分け、専門業者・主管官庁・物流会社に確認します。
電池を完全充電のまま航空輸送しようとする SoC制限に抵触します。 UN3480は義務、PI966は2026年から義務(2.7Wh超)、PI967は推奨です。
製品ラベルだけで判断する 同梱電池、予備電池、交換用電池の情報が見落とされることがあります。 製品ラベル、電池ラベル、仕様書、梱包明細を照合します。
海上輸送なら規制がないと思い込む IMDG CodeでもClass 9危険物に該当します。SP188の条件を満たさなければ完全危険物扱いです。 海上輸送でもSP188の適合確認が必要です。

最終確認先と責任分担

リチウムイオン電池の輸送では、最終的な実務確認先を明確にしておくことが重要です。荷主、メーカー、フォワーダー、航空会社、物流会社、場合によっては主管官庁の確認が必要になります。

最終確認先と確認すべき内容
確認先 確認すべき内容 実務上の位置づけ
電池メーカー 電池種類、Wh、UN38.3 Test Summary、SDS、MSDS、SoC管理可否 技術情報の一次情報源です。
製品メーカー 機器組込か、機器同梱か、電池の装着状態、予備電池の有無 製品としての出荷形態を確認します。
荷主・輸出者 出荷形態、梱包内容、数量、仕向地、輸送モード、該非判定 正しい情報を物流会社へ提供する責任があります。危険物の誤申告は法的責任を伴います。
フォワーダー 輸送可否、必要書類、航空会社選定、仕向国規制、経由地条件 輸送実務上の主要な相談先です。
航空会社・クーリエ 受託可否、CAO可否、ラベル、AWB文言、社内制限 実際に運ぶ側の最終受託条件を確認します。
船会社 海上輸送の受託可否、SP188適合確認、追加書類 海上輸送を選択する場合の確認先です。
危険物梱包業者 UN規格容器、短絡防止、落下試験、積み重ね試験、表示、DGD作成支援 完全危険物扱いの場合に重要です。
主管官庁・規制当局 特別承認(A331等)、例外規定、損傷品、リコール品、大容量品など 通常条件で判断できない場合の確認先です。日本では国土交通省航空局が主管官庁です。

実務上は、荷主側が「UN番号を断定して物流会社へ丸投げする」のではなく、「資料と出荷形態を提示し、物流会社・フォワーダーに輸送条件を確認する」進め方が安全です。特に航空便では、航空会社ごとの受託条件があるため、最終的には実際に使用する輸送ルートで確認する必要があります。

教育訓練と輸出管理の義務

危険物取扱い教育訓練

リチウムイオン電池の航空輸送に関わる業務を行う者は、IATA DGRに基づく教育訓練を受ける必要があります。

荷主側の担当者も対象です。「フォワーダーに任せているから自社の教育は不要」ではありません。危険物の誤申告は荷送人の法的責任に直結するため、自社で教育訓練を実施し、記録を保持することが必要です。

輸出管理(該非判定)

リチウムイオン電池は、日本の輸出貿易管理令の対象品目に該当する場合があります。電池そのもの、または電池を内蔵した製品を海外へ輸出する際には、該非判定書(非該当証明書)の準備が必要になることがあります。安全保障貿易管理の観点から、リスト規制およびキャッチオール規制への該当性を確認してください。該非判定書は電池メーカーまたは製品メーカーから取得するのが一般的です。

出荷前チェックリスト

最後に、UN3480・UN3481を取り扱う際の出荷前チェックリストを整理します。

UN3480・UN3481出荷前チェックリスト
チェック項目 確認結果
電池の種類はリチウムイオン電池であることを確認しましたか。 はい/いいえ
リチウム金属電池、ナトリウムイオン電池ではないことを確認しましたか。 はい/いいえ
出荷形態が電池単体、機器同梱、機器組込のどれか確認しましたか。 はい/いいえ
UN3480またはUN3481の判断根拠を記録しましたか。 はい/いいえ
UN3481の場合、PI966かPI967かを確認しましたか。 はい/いいえ
Wh定格を仕様書、電池ラベル、メーカー資料で確認しましたか。 はい/いいえ
Section区分(IA/IB/I/II)を正しく特定しましたか。 はい/いいえ
セル数、バッテリー個数、予備電池の有無を確認しましたか。 はい/いいえ
PI966の場合、電池個数制限(機器作動用1セット+スペア2セット)を満たしていますか。 はい/いいえ
SoCが航空輸送条件を満たすか確認しましたか(PI別の義務/推奨を区別)。 はい/いいえ
UN38.3 Test Summaryを入手または提出可能な状態にしましたか。 はい/いいえ
SDS、MSDS、仕様書、製品ラベル写真をそろえましたか。 はい/いいえ
短絡防止、端子保護、誤作動防止を確認しましたか。 はい/いいえ
損傷品、膨張品、リコール品でないことを確認しましたか。 はい/いいえ
DGD、AWB文言、バッテリーマーク、ハザードラベル、CAOラベルの要否を確認しましたか。 はい/いいえ
航空会社、フォワーダー、物流会社の受託可否を確認しましたか。 はい/いいえ
仕向国、経由国、輸送会社の追加制限を確認しましたか。 はい/いいえ
危険物取扱い教育訓練の修了と記録を確認しましたか。 はい/いいえ
該非判定書の準備が必要か確認しましたか。 はい/いいえ

まとめ:UN3480・UN3481は「電池の状態」と「出荷形態」で判断します

UN3480とUN3481の違いは、単純にいえば「電池だけか、機器と一緒か」です。ただし、実務ではここに、機器同梱、機器組込、Wh、SoC、Section区分、梱包基準、危険物申告書、航空会社の受託条件が重なります。そのため、UN番号だけを覚えるのではなく、出荷形態ごとに確認すべき資料と質問先を整理することが重要です。

電池単体ならUN3480、機器と同梱または機器に組み込まれているならUN3481が基本です。ただし、UN3481でも機器同梱はPI966、機器組込はPI967として扱いが変わります。2026年1月1日からは、PI966(機器同梱)のSoC 30%以下が義務化(2.7Wh超の電池)されるなど、規制が一段と強化されています。SDS、MSDS、仕様書、製品ラベル、UN38.3 Test Summaryを照合し、最終的には物流会社、フォワーダー、航空会社に輸送可否を確認してください。

リチウムイオン電池の輸送は、ルールを誤ると単なる書類不備では済まず、安全上の重大リスクにもつながります。初心者ほど、最初に「電池の種類」「出荷形態」「Wh」「SoC」「Section区分」「航空便可否」「最終確認先」を順番に確認することが、最も確実な実務対応になります。航空輸送だけでなく海上輸送、さらには輸出管理の視点も含めて総合的に判断してください。

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